コラム・豆知識

スラヴォニアの秋の訪れを告げる民族文化祭《ヴィンコヴァチュケ・イェセニ》

クロアチアの東部、スラヴォニア地方の秋の訪れを告げる秋祭りであり、クロアチアで最も有名な民族文化祭としてよく知られている《ヴィンコヴァチュケ・イェセニ [Vinkovačke jeseni]》を紹介します。

日本語で『ヴィンコヴツィの秋』を指すこの祭りは、ヴィンコヴツィ[Vinkovci]の街(写真は街の中心部の写真)で、1966年から開催されてきた祭りです。

ヴィンコヴツィ[Vinkovci]

昨年はコロナウイルスの影響をうけ縮小されていましたが、今年2021年は、ほぼ例年通りの形で、9月10日から19日にかけて開催されました。クロアチアでは屋外ではマスクの着用をしなくてよいとされており、下記で紹介している映像では、人々の笑顔が輝いているのが印象的です。

例年2週間ほど続くこの祭りの期間中は、街中に民族音楽が響き渡り、自らの街や村の民族衣装で着飾った人々でにぎわうとともに、伝統的なヘアスタイルをもとにした髪型のコンテストや衣装自慢コンテストなどが開催され、クロアチアのスラヴォニア地方の伝統を守る役目も担っています。また、昨年度からはスラヴォニア地方に限らずクロアチア全土の民族音楽舞踊団を紹介する方向になり、クロアチア全土の民族音楽舞踊団の踊りや演奏も楽しめるイベントとなりました。

祭りのメインイベントの行進や民族音楽舞踊祭を紹介する動画はあまりにも長いため、ここでは開催式典の映像を紹介いたします(実はこの式典、強雨のため中断され、予定より短時間での開催となり、映像も途中で中断されています)。

冒頭でクロアチア国歌に続き、この祭りの名前を冠したテーマソングが歌われたあと、スラヴォニアに暮らす人々とクロアチア北端のメジムリェ[Međimurje]地方出身の女性を描く寸劇に交えて、両地方の民謡や踊りが披露されます。クロアチア語がわからない方でも、方言の差によるイントネーションや曲調の違いが聞き取れることでしょう。
スラヴォニア地方の踊りとして、ユネスコ無形文化遺産に登録されている、若い女性が剣を持って踊る《クラリツェ(またはリェリェ)[Kraljice/Ljelje]》といわれる踊りも披露されています。その後に続いて紹介される、哀愁ある響きがうつくしいメジムリェ地方の民謡《Dej mi, Bože》(『神様、私にください、鷹の眼と白鳥の翼を』)は、クロアチアがEUに加盟した際の式典でも歌われた名曲です。ぜひお聴きください。

リンク:「[SNIMKA] SVEČANO OTVORENJE 56. Vinkovačkih jeseni 」(YouTube)