古代ローマの歴史に触れる野外博物館ーアンダウトニア

ザグレブの南東、車で30分ほどの距離にある人口440人ほどの小さな村、シュチタリイェヴォ[Ščitarjevo]には、古代ローマ時代の遺跡、アンダウトニア[Andautonija(Andautonia)]があります。

シュチタリイェヴォの風景：中央は遺跡に隣接する聖マルチン教会[Crkva sv. Martin]

アンダウトニアの歴史は紀元1世紀に始まり、2世紀から4世紀にかけての間、再建を繰り返しながら繁栄したことが判明しています。
アンダウトニアはローマの街道沿いに位置し、近くを流れるサヴァ川を利用した交易も盛んに行われ、パンノニア州の文化的・政治的・宗教的な中心都市として栄えました。
多才な学者クラウディオス・プトレマイオスの著書「地理学」にもその名が記されています。

遺跡には、石で舗装された道や下水道、大理石の彫刻、暖房設備など当時の栄華を伝える構造物が残るほか、陶製やガラス製の容器、照明器具、銅や銀でできた宝飾品などが出土しています。
出土品の一部はザグレブの考古学博物館(2022年8月現在は、2020年に発生した地震の被害のため閉館中)に収蔵されています。

1994年に考古学公園として整備され、クロアチア語および英語でのガイドによるツアーも行われており、紀元1世紀から4世紀にかけての古代ローマの都市国家の歴史に触れることができる場所となっています。

この村では、毎年4月末には、「アンダウトニアの春」を指す“プロリェーチェ・ウ・アンダウトニィイ[Proljeće u Andautoniji]”というイベントが開催されます。
イベント期間中は考古学や古代ローマ帝国に関するワークショップが開催されるほか、当時の飲食物を味わえる露店などで賑わいます。

参考 :「Archaeological Park Andautonia 」(考古学公園を運営するザグレブ考古学博物館のウェブサイト：英語)