コラム・豆知識

クロアチアの独立記念日

1991年5月19日、ユーゴスラヴィア連邦共和国からの独立の機運が高まっていたクロアチアでは、連邦共和国からの独立の是非を問う国民投票が行われ、有権者の93%が独立を支持する結果となりました。5月30日には初めてクロアチア議会が招集されました。

国民投票の結果を受け、同年の6月25日に、クロアチア議会はクロアチアの独立を宣言しました。また、同日にスロヴェニアも独立を宣言し、まもなくスロヴェニアでは10日間戦争として知られるスロヴェニア独立紛争が起こります。

その後7月7日、クロアチアとスロベニアは、両国がユーゴスラビアからの独立宣言に基づく活動を3ヶ月間停止することに合意する内容を含む「ブリユニ協定」に署名することにはなりましたが、クロアチアは、文化的とくに言語的に境界のあったスロヴェニアのような道をたどることはなく、衝突が続き、やがて10月8日、クロアチアはユーゴスラヴィア連邦共和国との関係を断絶する決定がなされ、独立を阻止する連邦共和国軍との全面的な紛争の時代へと進むことになりました。

こういった経緯から5月30日は「国家の日」として、終戦・独立後も2001年までの間は「独立記念日」のような扱いで祝われてきました。しかしその後、政治的意向など複雑な事情から、クロアチアの「独立記念日」は二転三転します。

2001年に「独立記念日」を10月8日とする法律が施行され、この法改正により5月30日は「クロアチア議会の日」とされました。2002年から2018年までは10月8日が「独立記念日」として祝われてきましたが、2019年11月14日、クロアチア議会は新しい法律により、「独立記念日」を6月25日に変更し、10月8日は「クロアチア議会の日」に変更され、それに伴い5月30日が「国家の日」となりました。

現在、5月30日の「国家の日」は祝日となっています。6月25日、10月8日の両日は「祝日」ではなく「記念日」という位置づけに変更されたため、平日扱いです。