コラム・豆知識

【動画紹介】スラヴォニアの民族音楽舞踊団とクロアチアを代表するチェリスト、アナ・ルツネルとのコラボ

クロアチアを代表するチェリスト、アナ・ルツネル[Ana Rucner]がチェロでスラヴォニア地方の街、オシイェク[Osijek]に拠点を置く民族音楽舞踊団「HKUD Osijek 1862」とコラボした動画をご紹介します。

クロアチア東部、パンノニア平原の南端部に位置する、起伏が少なく肥沃な土地であるスラヴォニア地方は、サミツァ[samica](映像冒頭においてソロで奏でられている楽器)やタンブリツァ[tamburica](映像にも出てくる大小各種のフラットマンドリン様の楽器)のほか、ガイダ[gajda](映像にも登場するバグパイプ)やヴァイオリンなどにより奏でられる、朗らかで明るい響きの音楽と、それに合わせて人々が手をとりあって大きな輪になって、リズムを刻むように身体を揺らして踊られる踊りが、今も昔も変わらず人々の暮らしのひとコマとして愛され、守られてきた地方です。

踊りは誰もが楽しめる容易なステップが多く、観光客の飛び入り参加もでき、お祭りの際には老若男女、国籍問わずたくさんの人が手と手を取り合ってできた大きな輪が街に広がります。映像でも踊りの輪が、オシイェクの街の広場[Trg sv. Trojstva]いっぱいに広がっています。

誰かが声高らかに唄い始めれば、演奏家は音楽を止め、そして他の踊り手もみな声を重ねて唄い、唄が終わると再び音楽が奏でられるスタイルが見られますが、これはこの地方を特徴づけるものです。唄の内容は、街や村の噂話や、恋の話、そしてお国自慢などで、決まり文句や即興で、ユーモアを交えて唄われます。
このスタイルにより、特に男性により唄われるもの「ベチャラツ[Bećarac]」は、クロアチアの伝統芸能としてだけではなく、世界で守り継ぐべき遺産として、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。

男女ともに刺繍やレースが美しい民族衣装にも注目です。女性の衣装は、この地方では長いスカートが一般的なのですが、オシイェク近郊のビゾヴァツ[Bizovac]という街の周辺に特徴的な、短めのスカートにカラフルな靴下を合わせた衣装も映像の中で紹介されています。

また、スラヴォニア地方の名物、サラミとワインが映るシーンも。

この地方の音楽では普段登場しないチェロの音色とアレンジにより新しいエッセンスも加わった音楽は、民族音楽になじみがないという方でも、きっと楽しい気分になれるはずです。ぜひご覧ください。

こうして手と手を取り合って集える日が、できるだけ早く戻ってきますように。

リンク:「Ana Rucner feat. HKUD Osijek 1862 – Drmeš pleše cijeli svijet 」(YouTube)